 |
 |
【2001年冬号】 第四回:板津悟さん(リトグラフ[石版])
ごぶさたしていました。皆さんお元気でしたか!いよいよ冬本番……ってたしか去年の今頃も同じようなフレーズで挨拶をしていたような気が…。
さて、今回の「アートは言い放し」は、リトグラフ(石版)の刷り師の板津悟さんをご紹介します。刷り師というのは版画を専門に刷る人のことで、版画家ではありません。ようするに印刷のマエストロ、キング・オブ・プリンターなのです。板津さんは'58年生まれ、オレゴン大学美術学部を卒業後、タマリンド・インスティテュートでリトグラフの刷りと歴史を学び、帰国して東京の深大寺に工房イタヅリトグラフィックを開きました。以来、国内外のアーティストたちのオリジナルプリントを制作しています。
|
筆者…のっけから何ですが、リトグラフとはどういう版画なのですか?
 |
板津…版画は木版が凸版、銅版が凹版、シルクスクリーンは孔版、そしてリトグラフは平版と呼ばれています。通常大理石やアルミ板の上に油性の画材、例えばクレパスなどで絵を描きます。それを製版して印刷するのですが、昔のポスターで美人がビールを持っているのがありますよね。あれなんかは大体リトグラフなんですよ。
(右はプリントの最中、緊張の瞬間) |
筆者…ほう、なんかレトロな感じがしますよね。
 |
板津…ええ、なんか雰囲気がありますね。だけどいろいろな技法があるので、現代では表現も様々ですよ。 |
筆者…板津さんは版画家の作品を刷るよりも画家や彫刻家、現代アーティストの作品を多く制作されているとお聞きしたのですが……。
 |
板津…はい、版画家はたいてい自分で刷ります。依頼があれば仕事ですからやりますけれど、それよりも版画家以外の作家のものを手掛けるのが面白いですね。
|
筆者…版画家以外のアーティストは普通、リトグラフの心得えがあるものなんですか?
 |
板津…いえ、ほとんど知らないんじゃないんですか。技術的にも結構面倒ですから。だから面白いのですよ。彼らメチャクチャやってくれますので(笑)。 |
筆者…刷り師としては困りませんか?版画に素人相手では……。あ、こりゃ失礼!
 |
板津…もちろん最初に基本的な仕組みは説明しますが、あとはクレパスを渡して”好きに描いてください、骨は私が拾いますから”って(笑)。まぁ、それは冗談ですが。でも知らないからこそ、普通版画家がやらないことをやったりしてそこに新鮮な表現も生まれるんですよ。それは版画表現のひとつの可能性だと思うのです。それが面白い。
|
筆者…なるほど。
 |
板津…もともと欧米ではいろいろなアーティストが版画を表現手段のひとつとして制作してきたという歴史があるのです。日本でも浮世絵は北斎や歌磨たちが肉筆で描いたものを彫り師が彫って刷り師が刷るといった分業の中であれだけの作品が生まれたわけですよね。アーティストとプリンターの共同作業のなかからまだまだ版画は新しい方向を見い出していけると思います。
|
筆者…アーティストとプリンターの”バトル”ですね。
 |
板津…そうです。”異種格闘技”です(笑)。 |
筆者…あぁ、それならよくわかります(笑)!では、いろいろなアーティストたちとのコラボレーションの中からリトグラフのニューヒーローの誕生を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
|
 |
 |
 |
 |
【2001年秋号】 第三回:木原 千春さん(新星アーティスト)
さあ、北の国の美しさがいよいよ深まる季節になりました。そして芸術の秋の到来です!ところでワタシゴトで恐縮ですが、“ビョーク”待望のアルバム『ヴェスパタイン』買いました?よいよ〜!そこで今回は彼女に負けず劣らず日本アートシーンのチョー新星、木原千春さんにインタビューを敢行!キレてます。深いです。ウ・ツ・ク・シ・イです!!
|
編集部… 木原さんは今回東京青山のギャラリー(ギャラリー北村、7/24〜8/25)で個展を終えたばかり、どうもお疲れさまでした。この個展は彫刻家の舟越桂さんのプロデュースによるものですね。反応はいかがでした?
 |
木原…いままでの中で一番いい個展でした。自分の手ごたえも人の反応も。 |
編…今回で個展は何回めになりますか?
 |
木…6回めです。 |
編…ええっと、失礼ですがまだお若いんでしたよね…。
 |
木…22です。 |
編…うわ−、ぼくの半分だ。最初の展覧会はお幾つの時ですか?
 |
木…18の時に東京のグループ展が最初です。 |
編…最初の頃から現在までモティーフに魚や昆虫とかカエルとかヘビなど爬虫類がよく出てきますね。何か理由はあるのですか?
 |
木…ワタシ、山口の山と海に挟まれたド田舎で育ったものですからうんざりするほどそういう生き物が回りにいるんです。それを描いてるのです。 |
編…木原さんにとって『自然』とはどういうものですか?
 |
木…自分自身です。誰にとってもそうじゃないですか? |
編…よく自画像も描いていますが、ではヘビや虫と同じ『自然』そのものとして描いているんですか?
(右作品はサイがモティーフ)
 |
木…違います。最近は自画像は描けなくなってしまいました。自分は特別なモティーフなんです。自分は確かに自然の存在なんだけど、それを絵に描くということはとても科学的な行為なんです。いろいろと反応させたり試したり、絵を生むというより“つくる”っていう感じなのです。その難しさに気がついて最近は前のようには描けなくなってしまいました。 |
編…ん〜、難しいこと言うなぁ…気を取り直してっと、さて、これからはどういう絵を描いてみたいですか?
 |
木…モティーフとワタシが一枚の絵の中で同じ呼吸をしている絵を描きたいな。その絵はとても静かな世界なんです。だけどその中にものすごい緊張感や力がみなぎっているんです。 |
編…うわ〜それもむずかしいなぁ…!でもあなたならそれをきっと現実のものにできるでしょう。楽しみにしています。きょうはどうもありがとうございました。
激しい色彩とのびやかな筆づかい、大胆なフォルムが見る者に鮮烈な印象を与える画家木原千春さんの今後に大いに期待して今回の特集を終わります。
| ◆ロキ展覧会いんふぉ |
| ロキでは昨年に続き11月に札幌大学美術部の展覧会『もみじ展』を開催します。どうぞお楽しみに!
。 |
|
|
 |
 |
 |
 |
【2001年夏号】 第二回:藤原 成淳さん(現代アーティスト)
今回は現代アーティストの藤原成淳(ふじわら せいじゅん)さんにインタビューをいたしました。藤原さんは木版画の技法を使い、不思議で深みのある抽象的な作品を作り続けている作家です。
7月(7/28〜8/11)にロキで個展を予定していますが、今日は彼の創造の秘密にふれるようなお話をうかがえたらと思います。
|
筆者… 藤原さんが版画を始めたきっかけは何ですか?
 |
藤原…僕の実家は山梨で代々古くから神社をやっているんです。祖父は神官でしたが、毎年師走になると子供だった僕に御札を刷るのを手伝わせました。だから板や紙、墨といった素材には小さい頃から慣れ親しんでいました。その後芸大に進み四年生の時に版画を選びました。でも版画家を志すというのではなく、画家として絵を描くという事にもっとリアリティを感じるために、あえて版画を選んだのです。 |
筆…え?…・どういうことでしょうか。
 |
藤… 絵画の外からもう一度絵画そのものを考えてみたいということです。直接絵を描くことから少し距離をおいて、版画という"間接手法"で逆に絵画に迫れないかと思ったのです。 |
筆… なるほど。一本の木を見つめるだけではなく、離れたところから森全体を眺めることも大切だ、ということですね。
 |
藤…また、作品で使っている和紙や木、墨が僕たちの生活しているこの東アジアの長い歴史の中でつちかわれ洗錬されてきた素材なので、それを使うことでぼくたちの近代以前から現代までを見通すことができるのではないかと思うのです。僕達は自分達の住む国について知らなさすぎると思います。ぼくは美術という方法で自分や自分たちの場所を明らかにしてゆきたいのですよ。 |
筆… 藤原さんは若い頃から日本各地の遺跡や歴史的建造物を見て廻ってますよね。
 |
藤…ええ、ずいぶん旅しました。ここ、北海道も訪れていますよ。苫小牧の周堤墓遺跡や、余市や積丹の方にある縄文、続縄文遺跡、ストーンサークルなどを訪れています。 |
筆… 今回はその北海道札幌でご自分の作品を展示するわけですが、いかがですか?
 |
藤…楽しみです。今回は会場の窓を使って展示を考えています。窓越しに作品を設置して光を透かしてみようというものです。 |
筆… ほう、それは例えばステンドグラスのようなものですか?
 |
藤…まあ、それは見てのお楽しみということで…・(笑) |
筆…ありがとうございました。ロキでの個展を楽しみにしています。
| ◆ロキ展覧会いんふぉ |
| 藤原成淳さんの個展は7/28(土)〜 8/11(土)小野寺燃料3階のロキで催されます。どうぞお運びください。
|
|
|
 |
 |
 |
 |
【2001年春号】 新世紀ロキ通信! 21世紀明けましておめでとうございます!
世紀もあらたまりまして皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、21世紀最初のロキ通信としましては新企画!『アートは言いっ放し』と題して、筆者のインタビューにより毎回様々なアーティストの方々に言いたい放題、くり言たわ言、よーするにカバチタレ(広島弁で“文句を言う”の意)てもらいます。アーティストの本音が思わずポロリ…!ぴゅあ読者のあなただけに、そっとお伝えします・今回最初のアーティストは画家のO-JUN(“オージュン”日本人です)さんです。
|
筆者… 明けまして、そして21世紀おめでとうございます。
 |
O-JUN…今頃何言ってんだよ。もう2月だよ。旧正月でも祝おうってのか、ったく…。 |
筆…スミマセン…、今日はよろしくお願いいたします。まずO-JUNさんのこれまでの画家としての活動の様子からお話いただければ…。
 |
O…そんなに紙面ないんだろ、これ。足らないよ。25年間絵描いてんだよ、四世紀半だよお前。冷や飯に霞ふりかけてシノイデきたんだよオレは! |
筆…い、いえ、簡単に作家のプロフィールなど紹介できればと思いまして…。
 |
O…簡単じゃないんだよオレは! |
筆…いえ、あの…そんなつもりで言ったんでは…。
 |
O……ま、いいや。ところでプロフィールってのは“横顔”って意味だよな。オレ、こないだ久しぶりに自画像描いたんだよ。最後に描いたのが19の年だから、ああ、25年ぶりだよ。試しに同じサイズに描いたんだ。まあ、当時と今では年も画風も違うから当然自分の顔だって変わってるよな。だけど一番何が違うって、“ナルシズム”が無くなったんだよ。若いときの自画像ってのは、顔は単に借り物でね。そいつのナルシズムそのものなんだよ。ナルシズムってのは麻疹か知恵熱みたいなもんでさ、皆ある時期一通り患うもんなんだ。それでさ、今この年になって自分の顔描くだろ。キレイサッパリ無くなっちゃってたよ、ナルシズム。変わりに別なもんがでちゃったよ。『含羞』ってやつだ。“わたし、こんな顔になっちゃいました”っていう恥じらいだよ。まいったね。まいっちゃって照れ隠しに“あいーん”だって。金歯まで描いちゃった。自虐の詩だよな…ホント。 |
筆…ありがとうございました。初回は現代美術家のO-JUNさんでした。それでは次回はまた別なアーティストの方に…。
 |
O…おい、もっと話させろよ!これから美しい話するんだよ…! |
筆…前途多難な新企画になりそうですが、どうぞよろしくご愛読のほどを…。ではまた次回!
| ◆ロキ展覧会いんふぉ |
| ロキでは5/6(日)〜19(土)まで画家天野純男氏による水墨画展を開催いたします。天野氏は京都に生まれ東京でデザインの仕事の後、水墨画を始め数々の個展で発表されてきました。'93より北海道八雲に移り住み制作をされていますが、今展では風景や静物など様々な作品を展示します。氏の味わい深い水墨の世界をどうぞお楽しみください。
|
|
|
 |
 |